メディア情報

[’20/8/28] パドクター

毎月、街の情報誌 「ぱど」 に健康情報
ワクワク楽しい予防歯科ってなあに?
連載しています。

 

 

 

当院の副院長の入江先生森山知子先生執筆して頂いております。

今回は、森山知子先生です。

 

ワクワク楽しい予防歯科ってなあに vol.181

こんにちは。ヨリタ歯科クリニックの森山知子です。
今回は、子どもの口呼吸と歯並びの関係についてお話します。

医院の待合室にいる子ども達が、本を読んだり、スマホを触っている姿を
よく目にします。そんな子ども達の口元を見ると、ポカンと開いていることが
あります。

おそらく口呼吸が定着して、無意識にお口が開いてしまっているのでしょう。
しかしこの状態は、子どもだから仕方ないと見過ごすべきではありません。

子どもに限らず、口呼吸はそれ自体が身体にとって悪影響を及ぼします。
また、口呼吸が癖になると「低位舌」を引き起こします。

低位舌とは、舌が上あごから離れた状態を指します。
舌の位置を意識したことはないかもしれませんが、正しい舌の位置とは
舌が歯に触れず、上あごにくっついていることです。

では、なぜ低位舌ではいけないのでしょうか?

舌は舌筋という筋肉でできており、その力は意外にも大きく、舌でいつも
歯を押し続けていると、その歯は押された方向へ動き始めます。

これは、決して強い力で押していなくても起こります。
舌は、それほど大きな力を持った筋肉なのです。

舌が上あごにくっついていれば、舌筋が上あごの骨を内側からしっかりと
支えます。上あごの大きさがぐんと成長する4~8歳の時期に、しっかりと
上あごを舌の力で支えていれば、永久歯が適正に並ぶだけの大きさまで
成長するはずです。

そして上あごが広がることによって、あとから成長する下あごも広がりやすく
結果的に歯並びは良くなります。

反対に、低位舌であれば本来の成長が期待できません。
あごは小さいままで、永久歯は歯列不正となります。

ほかにも、低位舌が出っ歯や受け口といった歯並びにも関わっています。
子ども達のきれいな歯並びと健康な体にとって、大きな役割を担っているのが
舌の力ということです。低位舌の子ども達には、トレーニングによって舌を
正しい位置へと導き、呼吸や姿勢も同時に正しく整えることが非常に重要となります。

歯列不正の子ども達に、最も多く見受けられるものが口呼吸や低位舌ですが
それ以外にも指吸いやほおづえ、うつぶせ寝といった癖も歯並びに関わっています。

悪習慣になっている癖を直し、口腔機能を高めることが、結果的に良い歯並びに
もつながります。

学童期に正しい口腔機能を身につけた場合とそうでない場合とを比較すると
高齢期を迎えたときの状態に、明らかな差があることが分かっています。

高齢期における口腔機能の低下は、摂食嚥下のトラブルにつながり、柔らかい物しか
食べられない、飲み込めない毎日が続きます。
子ども達が遠い将来、食べる楽しみを失うことなく、健康で生き生きとした高齢期を
迎えてほしいと切に願います。

そのためにも、私達は低年齢から口腔機能をより発達させるべく、指導や
トレーニングを行っています。

子どもの口腔機能がきちんと発達しているのかどうかは、専門的な知識をもった
歯科医師の診断を受け、必要であれば口腔機能を高めるトレーニングを受けることを
おすすめします。

すでに口呼吸などで歯並びに影響が出ている場合は、トレーニングに加えて矯正治療が
必要な場合もあります。

まずは、口呼吸になっていないか、チェックすることから始めてみましょう。

そして更に、過去のバックナンバーを、
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