コンセプト

CHP研究会代表 諸井英徳先生とのスペシャル対談

私の歯科医師人生において、その大きな転機となったのが、
CHP研究会(http://www.chp.ne.jp)との出会いです。
この研究会と出会わなければ、今の私はないとまで、断言できます。

その代表であり、医療法人A&D文の里歯科クリニック理事長 諸井 英徳先生と熱く語った
スペシャル対談が、CHP研究会で取り上げられることになりました。

ご興味のあるあなたは、是非お読み下さい。

スマイル・コミュニケーション(フラット対談)

人をしあわせにしたいから、いきいきとワクワクがクロスする。
おおいに語り、学び合う。

1熱い思いをコトバにすれば、「自責」の人が集まってくる。輝く笑顔の連鎖!

いま世の中には、会社を経営している方や何かを主催している方、
いろんな立場で、リーダーとして多くの方が活躍しています。

そうした皆さんには、業務や活動の内容は違っても、根底にある考え方ビジョン
〝哲学〟という面で重なり合うところが、随分あるように思います。

この対談は、毎回違うゲストの方といろんなことを語り合うなかで、
皆さんの医院経営業務推進の一助となり、課題解決のヒントとなる、
そんな〝何か〟を引き出していければ、とのねらいで行っています。

今回のゲストは、〝ワクワク楽しい歯科医院〟として、
ヘルスプロモーション型の歯科医院を実践しておられる
医療法人ヨリタ歯科クリニック、寄田幸司先生です。

寄田先生は、同クリニックが
患者が決めた! いい病院ランキング(近畿東海版)」において、
歯科部門で第一位の評価を受けるなど、
いま、大変知名度の高い方です。

そこで、歯科医師としてというよりもむしろ歯科医院の経営者として、
プランニングする人、マーケティングをする人、経営戦略を立てる人というスタンスでお話を伺いました。

2チャンスを捉え、第一歩を踏み出す

諸井先生
お話したいことは山ほどありますが、
まずは寄田先生が最初ヘルスプロモーション型歯科医院をめざされて、
CHP研究会のセミナーに参加されたときのお話を。

物事を始めるきっかけ理由を知ることは、
何かを始めようとする人にとって大変参考になります。

ヨリタ
当時、予防をベースにした歯科医院ということで、
手探りでいろんな勉強会に参加したり、本を読んだりしていました。
やるべきことは何となくわかっていても、
それを実際に医院の中で、患者様の前でとなると、どうも上手くいかない。

そんなとき、諸井先生の笑顔カムカムクラブの写真が載った冊子を発見。
その中で言われていることに大変共感できたんです。
「あっ、コレだ!」と思いました。

そこで、どんなふうに診療されているのかを一度見学させてもらうことに。
その前に、実際に何をやっているのか、
どのようにしてコミュニケーションをとっているのかなど、
CHPの考え方を理解するため、セミナーに参加しました。

最初の第一歩を踏み出す段階では、
実際に、諸井先生の文の里歯科を見学して実証できたことが、非常に大きかった。

目の前のスタッフ輝いていて、来院者輝いている。
そして素晴らしいオーラを放っている院長がいる。
自分たちもそういう医院をつくろう、チャレンジしてみよう、という勇気をもらいました。

諸井先生
僕がCHP研究会を立ち上げてすぐの頃でした。
話をしていて
「この人はちょっと違う。絶対実現しそうやな」
と思いました。

懇親会で寄田先生が、 
「絶対にヘルスプロモーション型の歯科医院に変えますから、
諸井先生見ていてください!」

と宣言されたことにも少々驚きました。

そんなことを言った人は、後にも先にもいなかったですから(笑)。

ヨリタ
自分が具体的に着手するべきことを、日々あれこれ考えているときに、
ズバリ的を射た情報だったので、まずちゃんと聴いてみよう、
正面から取り組んでみようと、ものすごく真剣だったんです。
諸井先生
僕もかつて同じような経験をしたことがありますが、
その時は、「コレだ!」と感じるための心の準備ができていたように思います。
先生の場合は?
ヨリタ
それはありました。
でなければ、冊子の小さな記事は見逃してしまいますよ。
諸井先生
やっぱり何か行動を起こしたり、変革したりしようとすると、
天の時、地の利、そして強い決意と心の下ごしらえのようなものが必要なのですね。
そういった状況では、自分が挑戦したい、改革したいという思いが膨らんでいて、
行動のための決定的な情報を探してアンテナを張り巡らしている。

喉がカラカラのときに、目の前に泉が湧いていたら、
そりゃあゴクゴク飲みますよね。

ヨリタ
その後、一から勉強するなかで、CHPのセミナー実践例を話してみませんか、
とお誘いをいただいた。
そして、いまはアドバンスコースの講師に。
やったことに対して、ただ単に自己満足の世界に浸るのではなく、
発表できる場がある、発表していろんな意見が聞けることは、
自身のやりがいにもつながる。
発表の場を与えてもらったことには、すごく感謝しています。

3変革に向けての取り組み

諸井先生
いま、ヨリタ歯科に来られる多くの来院者の方は、
人に紹介されたり、ホームページで見たりして、
「あのワクワクの寄田先生のところで診てもらおう」
と思ってやって来る。

ある程度、情報を持っていて、医院サイドとのフラットな関係が既にできている。
でも、最初ヘルスプロモーション型に切り替えようとしたときは、
そうではなかったかも知れない。

その段階で、先生はどんなやり方で、ヨリタ歯科がヘルスプロモーション型の
歯科医院
をめざしていることを、スタッフや来院者の方に伝えたのですか? 
またどのようにして変わっていったのですか?

ヨリタ
CHP研究会のセミナーで、諸井先生は、
「医院としての理念を持ちましょう。スタッフに自分のコトバで伝えていきましょう」
と常々言っておられた。
まず、そこをキチンとやっていこうと思いました。

ですから、医院改革のときに、最初に魂を込めてやったのが
医院としての理念をキッチリ固めて、クレドにすることでした。

それまでは、スタッフや来院者に、あまり本音を言ってこなかった。
自分のやりたいことができなくても
「患者さんが来られているからまあいいか」というところがあった。

それが、CHP研究会で勉強し、医院として理念を確立しクレドを打ち出してからは、
「僕のヘルスプロモーションの考え方を、理解してくれる患者さんにだけ来てほしい」
と周囲に、ハッキリ言えるようになりました。

そうすると、スタッフも少しずつ僕の考え方を理解し、
チームワークコミュニケーションの大切さがわかり始めてくる。

まず自分たちが楽しく仕事をしよう、
そして来院者の方々にも、楽しさの輪を広げていこうという思いが強くなり、
治療以外の会話も。どんどんするようになる。

当たり前のことを当たり前にしよう、という機運が盛り上がり、
みんなが正しい言葉遣いを心がけ、
相手の目を見て心を込めて、笑顔で挨拶するようになってくる。
清清しさ心地よさを感じた来院者は、
ていねいに話してくれるようになり、笑顔で挨拶を交し合うようになる。

スタッフが意識して変わると
思いは自然なカタチで、来院者に伝わっていくんですね。
最終的には、来院者も新しいスタッフにしても僕が考えていた。
〝ワクワク楽しい〟ヘルスプロモーション型の歯科医院を理解し、
賛同してくれる人が、集まってくるようになってきました。

諸井先生
寄田先生は、自分にとって心地よいこと
相手が清清しい気持ちになることなら、何でもしようと思っていますね。
ヨリタ
来院者がさわやかな気持ちになり、
ワクワク楽しい歯科医院の心地よさを感じてくれて、
「また来たい」
と思ってもらえれば、これほど嬉しいことはありません。

そしてその後、僕は、どんなことがあってもクレドを変えなかった。
信じていたし、自信を持ってやっていた。反発があったり、
いろんな問題が起きたりしたが、
絶対にぶれない、動じない、を貫き通しました。

諸井先生
理念をつくると言うことは、
企業なら、代表や社長、医院で言えば院長の仕事です。
物事の決断の論拠であり、拠り所なんですね。
そして、大切なことは、寄田先生が言われるように、
リーダーは何があっても信念を曲げずに、クレドに沿った行動をすることです。

企業文化や組織文化の研究者は、
その会社を知るときに、まず会社の伝説や代表者の武勇伝を訊くそうです。
それが企業文化であり企業風土そのものだからです。

ヨリタ
経営環境がいい時(業績が順調に上がっている、スタッフの問題がない)には、
理念クレドは要りません。
何か大変な事態が生じた時、すごく難しい決断が求められたときに、
判断の基準として、必要になります。

何か問題が起こったときに、院長がどういう発言をし、
どう対処するのかをみんなが見ている。
その時にその医院らしさ院長らしさが出る。
その際の行動が、実際の理念クレドに合致していなければ
リーダーは信頼を失墜し、誰もついて来なくなってしまいます。

諸井先生
理念を固め、クレドを打ち出しておけば、
たとえ先々寄田先生が第一線を退かれることがあっても、
翌日からも、ヨリタ歯科らしさを残すことができます。
なぜかと言えば、文化風土がしっかりと根付いているからです。

※クレド(Credo)……ラテン語で「信条」「志」を意味し、昨今の企業活動においては「企業理念」そのものを表す言葉として使用されることがあります。

4カタチから入るということ

諸井先生
方針を打ち出したあと、みんなで何かを始めよう、変えていこうとするとき、
先生ご自身は具体的にどんなことをされますか?
ヨリタ
カタチから入っていくのもいい方法ですよ。
ヨリタ歯科は、今年いろんな行事があって、
変化の年チャレンジの年ということになっています。

年のはじめにそのことをみんなに言ったのですが、そのとき僕が何をしたかというと、
なんと二十何年ぶりにパーマをあててヘアスタイルを変えた
見た目から変えよういう作戦です。

それだけで「あっ、先生本気だ!」というように、
手っ取り早く、周囲の気持ちが変わりました。

諸井先生
ヨリタ歯科恒例、朝礼時のハイタッチもそうじゃないですか?
ハイタッチというカタチから入って、明るくふるまう気持ちの大切さを、
自然なカタチで日々確認されていますよね。
ヨリタ
諸井先生の場合はどうですか?
諸井先生
実は僕も本気でやるときはカタチです。
みんなの前で何か宣言するときに、頭を丸坊主にしたこともあります。

いま文の里歯科クリニックでは、今年上半期のテーマとして
業務内容の改善ということをやっています。
かなり医療に特化して、いい診療技術とは何か、
レベルの高い診療所とするために何をするか、を徹底してやっています。
絶対めげずにやるとみんなに強く言っています。

そのため、僕は今年のお正月からお酒を一滴も呑んでいない。
「禁酒します」ってみんなの前で宣言したからです。
ひとつはスタッフに対するメッセージ。「理事長本気や!」と思ってほしいからです。
言ったことは絶対やるんだ、という思いをカタチにしておけば自分への戒めにもなる。

本気のときは違う、とみんなにわかってもらうには、
真剣さをカタチにして見せるのもいい方法です。

ヨリタ
いま僕は体の動きをよくして
健康でスリムな体形を保つために、食事療法をしています。
自分のためにやってるんですが、これも突き詰めれば
周囲への、何らかのメッセージかも知れません。
諸井先生
奇しくも、私、諸井もいま身体から変えていこうと思って肉体改造中で、
食事や運動に気を遣っています。

グッと身体を絞って、
「院長顔つきから変わってきたな」と周りが思うようになったときに、
何か伝わるものがあるのでは。

ヨリタ
それにやっぱり幾つになっても、男としてカッコよく生きたいですしね。
スタイルも、できれば容姿も(笑)。

5「自責」「他責」という見方

諸井先生
では、このあたりで少し話題を変えて、
一般的な社会の話というか、少し世間話をしたいと思います。

新聞や雑誌などに二極化の時代なんてよく載っていますけど、
「勝ち組」「負け組」という言い方について、先生どう思われますか?

方針を打ち出したあと、みんなで何かを始めよう、変えていこうとするとき、
先生ご自身は具体的にどんなことをされますか?

ヨリタ
勝つとか負けるとか、勝負の問題ではないと思うんです。
大切なのは、やりたいことができているかどうかということです。

僕のなかでは、勝ち組というのは、自分のやりたいことができている人のこと。
負け組とは、やりたいことがハッキリしていないのか、
しかたがないと思ってムリにやっているのか、言い訳ばかりしている人のこと。

個人も企業も、本当に自分のやりたいことができているのであれば、
それが結果的に、大きな収入や業績につながっていなくても、
やっぱり勝ち組だと思います。
やってよかったという、達成感の問題ですよね。

諸井先生
その通りです。
自分で責任を持ってやることと、それをやり遂げたときの心の満足感が大切です。

去年CHPのシンポジウムでモチベーションの話題の時に、
「自責」「他責」という話になったんですよ。
つまり、何事も自分に責任を置こうと考える人が自責の人。
自分の置かれた環境や周りの要因に責任を転嫁しようと考える人が他責の人。

ゴルフにたとえれば、
「風が吹こうが雨が降ろうが、自分の技術がしっかりしていればスコアがまとまるはず」
と考えて、ちゃんと練習してゲームに臨むのが自責の発想。
一方、「今日は風が強いからスコアが悪い」などと言うのは他責の発想です。

自責の人はすべて自分で受け止めて、前向きにチャレンジしていくから発展する。
自分らしく生きることができる。
他責の人は、人のせい、周囲の要因のせいにばかりしているので、発展しない。
気がついたら自分らしく生きていない。

ヨリタ
そうです。ヘルスプロモーションをベースにした予防中心の歯科医院をつくりたい、
というのも僕が本当にしたかったから、自己の責任においてやっている。

コレをしたから来院者が増えるとか、収入が増えるとか思っていたら、
スタッフや来院者に対するコトバの端々や態度にそれが出る。
そんな欲得だけでやっているような人を誰も信用しないし、ついて行こうとも思わない。

そうではなく、いま自分は本当にやりたいことをやっている、
やってよかった、というシンプルさが大切です。

諸井先生
ヘルスプロモーションは、来院者が自分の健康に自らがちゃんと責任を持って
「行動を変えませんか?」という考え方で、
歯科医や衛生士の役割はそれをサポートしていくこと。

僕は「輝く人が輝く人をつくる」というフレーズをよく使いますが、
スタッフが自責の概念を持って他人に責任を押しつけることなく、
自分のことは自分で責任をとってキチンとがんばる人であったら、
来院者の方もだんだんそうなっていきます。
そこには勝ち負けなんて関係ありませんものね。

6いい人材の集め方

諸井先生
僕はいま、「ヘルスプロモーション型の歯科医院をつくりませんか?」と
世の中の歯科医院にアプローチしているわけですが、
皆さんが上手くいかずに一番困っているのは〝人選び〟の問題です。
思うようにいいスタッフが集まらない。

先生のところでは、ヨリタ歯科にふさわしいスタッフが集まり、
育っているということですが、いいスタッフを集めるには、
どのあたりがポイントになると見ていますか?

ヨリタ
普通に求人していて、たまたまポンと来た人が、
できる人、いい人材であるということはまずありません。
ですから、人材募集においても、
理念に基づいて医院としての考え方をしっかり打ち出しておくことが肝心です。

僕はホームページを使って、「チームメンバー募集」というカタチで、
こういうことをしたい、だからこういう人に来てほしい、
ここに来たらこういうことがありますよ、こういうふうになりませんか、
ということをクレドを作成して具体的にアピールしています。

スタッフ自身が仕事を楽しめなければ、来院者が楽しいはずがない、
という考え方に立って、自分たちと一緒にワクワク楽しい、
来院者に愛される歯科医院をつくりませんか?
そのために、あなた自身がヨリタ歯科のスタッフになって、
いきいき輝く人になりませんか?

というように直接心に訴えかけるようにしています。
だから自分に合った人、ヨリタ歯科にふさわしい人
集まって来てくれるように思います。

採用する側としては、夢を持って来てくれる人を裏切らないような雰囲気はもとより、
実際に自分の言ったことがちゃんとできているように、きめ細かく気を遣います。

人の問題は、経営者にとって大変悩ましい問題ですが、
歯科医院経営においても、非常に大切なことのひとつです。
何をするにしても、一人ではできません。
周りのサポートがあってはじめて、自分のやりたい仕事ができます

ヘルスプロモーションに賛同してくれる人、
そのために周りでサポートをしてくれる人を、いかにたくさん集めるかが、
これから、ますます大切になってきます。

諸井先生
面接していい人を選ぼうとしたときに、
普段から院長がポリシー理念をクレドとして打ち出しておけば、
それに賛同するよりいい人がよりたくさん集まってくる可能性が高い。
その中からさらに選び抜くのだから、より自分の考えにピッタリ合った人が集まる。
そういうことですね。

7キャリアを高め、ビジョンをつくる

諸井先生
新しくメンバーとして参加する方をはじめ、
いまヨリタ歯科で働いているドクターやスタッフの能力をどのように高めていくか、
先生ご自身も含めたキャリア開発や将来へのビジョンについて
少し触れたいと思います。

最近はキャリア開発にもいろいろな考え方があります。
例えばキャリアというものを仕事と家庭の両面から
バランスよく考えていこうという発想。「ワーク・ライフ・バランスプラン」ですね。
仕事の面ではいくら有能であっても、家庭人として最悪であったらダメだということ。

先ほどの話の続きになりますが、ヨリタ歯科で働こうと思った皆さんは自責の人。
そういう人たちが仕事人としても、家庭人としてもバランスよく成長し、
キャリアを高めていくために、先生はどのような考えというか、展望をお持ちですか?

ヨリタ
仕事は自分のためでもありますが、僕は家族の幸せのためにやっているので、
そこのところは絶対にはずせません。
仕事ばかりして、家庭をないがしろにはしたくない。スタッフにもそうさせたくない。

そのなかで、「じゃあ仕事は?」と言われたとき、どうするかというと、
確かにいま、有能な自責の人が集まってきているのは事実です。
これからは、そういう人たちの能力をさらに伸ばし
花を咲かせてい、〝しくみ〟が絶対に必要です。

諸井先生
そう、そこですよね。
ヨリタ
僕は、ドクターはビジネスパートナーだと思っていますから、
自分の足りないところをサポートしてくれる、スペシャリストに集まってもらいたい。
そういう先生方がキャリアを高めていくと、ヨリタ歯科には収まりきれなくなる。

衛生士や助手の人などスタッフも、そうです。
キャリアを磨いてもっともっと大きくなる人が、いっぱい出てくる。
そういう人たちとは仕事を通してこれからも付き合っていきたいし、
パートナーとして、一緒新しいビジネスモデルをつくっていきたいと思います。

たとえば、小児が得意な先生やインプラントの得意な先生が
パートナー医院として、それぞれの専門分野を活かして協力し合い、
強みを活かしてやっていければいいなと思う。
会社をつくって、セミナーをするのもひとつのやり方かも知れない。

そこで成果を上げれば、後輩の中に
またそういう道を歩みたいという人が、出てくることにも期待できます。
スペシャリストとしての、技術を持っていて、なおかつ一般の治療もできる人が、
何人かサポートしていればもっと強力な組織になる。
そういうしくみをつくれば、
自然発生的にパートナーシップ医院の輪が広がっていきます。

諸井先生
同じコンセプトで、信条の部分が同じで、
一緒にやっていけるパートナー医院が増えるのはいいことですよね。
ヨリタ
CHP的な考え方がすごく大切で、ベースがないと上手くいきません。
諸井先生
寄田先生の言われていることは結局、その人の能力は無限であるということ。
まず先生自身のクレドに賛同する人で、潜在能力のある人にめぐり合ったとき、
ヨリタ歯科を飛び出して、
新たなビジネスモデルの中でもっと伸びるという確信がある、ということですね。
ヨリタ
だから僕は、個別に「先生コレをしたらすごく伸びるからやりませんか?」とか
「一緒にコレやりましょうよ!」という提案型の話をよくします。
諸井先生
部下とか支店という発想だと、本店あっての支店に過ぎない。
支店の店長にしてやると言われても暖簾分け的な感覚で、
いつまで経っても「オレはあの人の部下なのか」といういじけた気持ちが残る。

ところがパートナーとなるとちょっと違う。
フラットな感覚で自分の強みをおおいに発揮できるし、
逆に弱い部分は相互補完し合え、学び合えますものね。

8これから変革される皆さんへ

諸井先生
寄田先生は、一人であくせく働くような歯医者ではダメだ、
チームでやりたい、というのが医院改革への情熱になっているとお聞きしています。
これからは、ヨリタ歯科や文の里歯科のように、
チームでやりたいという歯医者さんが増えてくると思います。

本当は自分以外のドクターや衛生士さん、
その他のスタッフにもたくさん来てほしいと思っている。
けれども、こじんまりとまとまってしまっている歯医者さんがいかにも多い。

その人たちを脱皮させてあげ、ヨリタ歯科のような
ヘルスプロモーション型の歯科医院に改革していくために、
寄田先生から何か一言アドバイスをお願いします。

ヨリタ
そこに、人が集まってくることが大切です。
だから、前にも言ったように、いろいろな場を通じて
自分のやりたいことを、言い続けるしかありません。
言い続けたら必ず、それに賛同してくれる人が集まって来ます。

その際、たとえば患者さんを集めるノウハウにしても、
それをして自分が上手くいったときに、周りに言ったらマネされるとか、
人に見せたら損だ、といった狭量なモノの考え方では、絶対に人は集まって来ない。

諸井先生のCHPのように、ヘルスプロモーションを全国に広めたいという
強い思いのもと、勉強されたことや確立されたノウハウを
オープンにして発信しているから、人が集まってくる。
相乗効果、で医院もますます栄えていく。

僕もそうありたい。
こういう医院をつくりませんか?
楽しい医院をつくって、患者さんだけでなく、
そこで働いているスタッフにも元気を与える医院をつくりましょうよ

と言い続ければ、それは誰にとってもいいことなので、
どんどん人の輪が広がっていく。
自分だけで取り込まない。
いいことはみんなに発信して、一緒にやろうとする広い心が大切だと思います。

諸井先生
いいことはみんなに伝えて、一緒に楽しめる自責の人をどんどん周囲に増やしていく。
辛いこと、苦しいことがあったら、チームとしてみんなで分かちあう。
ヘルスプロモーションにはそういうチームワークの考え方や
「共生」の発想がありますよね。

――さて、熱く語り合っているうちに、あっという間に時間が経過してしまいました。
今日は僕もいろいろ刺激を受けましたし、
ワクワク楽しいひとときを過ごすことができました。

寄田先生は「ワクワク楽しい」、そして僕の方は「CHP」ということで、
歯科医療に携わるスタッフも来院者も、
みんながしあわせになる改善活動を展開していますが、
めざす方向、そして根本のところは
「ヘルスプロモーション型の歯科医院」ということで共通しています。

これからは歯科医院の院長先生が経営をはじめ、
何もかもすべてを一人で行う時代ではありません。
ドクターや衛生士さん、その他スタッフの皆さん全員が
経営のセンスをキチンと勉強して、
チームワークを中心にした自律的なマネジメントを展開していく時代です。 

そこに、「人が自らの健康をコントロールし、改善できる力をつくり出していくプロセス」であるヘルスプロモーションの考え方を診療室に取り入れて実践できれば、
今までにない新しい歯科医院ができるのではないでしょうか? 

これからもお互い切磋琢磨し合い、ヘルスプロモーションの考え方を世の中に広めて、
来院者やスタッフみんなの健康としあわせを追求していきたいと願っています。

本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

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