口腔機能発達不全症への対策とアプローチ
口腔機能発達不全症への対策とアプローチ |
こんにちは!
ヨリタ歯科クリニック管理栄養士チームです!
12月に入り、2020年も残すところ、あと一か月となりました。
何かと忙しくなる時期ではありますが、
皆さん、体調を崩すことなくお過ごしくださいね。
11月のブログでは
「口腔機能発達不全症になる原因」について
お話させて頂きました。
今月のブログでは、
「口腔機能発達不全症への対策とアプローチ」について
詳しくお話させて頂きます!
口腔機能発達不全症はその名の通り、
“口腔機能”が“発達不全”の状態です。
つまり、お口の成長が上手くいっていない状態となるのです。
口腔機能は、口腔機能単体ではなく、全身とともに発達します。
赤ちゃんの時に、全身の発達の過程をしっかりと意識し、
サポートをすることが大切なのです。
「全身の発達の過程って具体的にどういうこと?」
と疑問に思った方もいるでしょう。
「食」、「呼吸」、「姿勢」の大きく3つに分けて、
どういうサポートが必要なのか、説明していきたいと思います!
食のサポート
お子さんのお口の成長に合わせ、しっかりとステップを踏んだ上で、
離乳食を与えることが大切です。
■大きな口を開けて深く乳房をとらえて母乳を飲ませる
赤ちゃんが母乳を飲む行為は、栄養を摂るためでなく、
口周辺の筋肉や舌を使い、咀嚼(噛む事)や
嚥下(飲み込む事)の、練習をしています。
ですので、赤ちゃんがしっかりと大きな口を開けて
深く乳房をくわえているか、観察してあげてください。
母乳を与えることが難しければ、
母乳によく似ている、人工乳首を使用してもらっても構いません。
■離乳食を与える時期は、月齢では判断しない
しっかりと咀嚼運動をするためには、頭を自分で支える姿勢=お座りが
できていることが重要です。
また、家族の食べる様子に興味を示し、よだれや手を出して食べることに
興味を示すようになれば、離乳食を始めても、良い時期といえます。
離乳食の形態は、赤ちゃんのお口の状態(唇・舌の動きや歯の数)に、
合わせることが大切です。
赤ちゃんの発育には個人差がありますので、焦らず
しっかりと“段階的に”離乳食を与えるようにしてみてください。
■上下の唇で食べ物をとらえているか確認する
咀嚼は、上下の唇で食べ物をパクッと、捕食することから始まります。
一口ずつ飲み込めているか、確認してみてください。
離乳食を食べさせる時には、スプーンを下唇に触れさせ、
赤ちゃんが自ら上唇を閉じて、食べ物をすくいとる動きができるように、
支援しましょう。
スプーンで、放り込むように口の中に入れるのは、良くありません。
初期段階では、木べら状のスプーン(アイスのスプーンのようなもの)を使って
上唇を使えるようにし、ある程度使えるようになったら、少し深めのスプーンを
使うのもおすすめです!
■手づかみ食べで食べる意欲を育てる
子どもが食べ物をつかむのは、食べ物に興味を持ってきた証です。
食べ物を見て、手指でつかみ、口に入れて運ぶという行為によって、
子どもは、食べ物の「重さ」「食感」「食べ物のかじりとり方」
などを学びます。
散らかして食べるのは、限られた期間のみですので、
「汚れるし、片付けが大変!」
と思われるかもしれませんが、あまり気にしないようにして、
手づかみ食べを、させてあげることが大切です。
呼吸のサポート
■赤ちゃんを寝かせる時は、うつ伏せ寝や横向けは避ける
うつ伏せ寝や横向き寝は、顔が圧迫されやすくなり、
唇が閉じづらくなるので、口呼吸になりやすいです。
また、うつ伏せ寝や横向き寝は、頭や顎にかかる力が偏り、
長時間眠る赤ちゃんでは頭や顎の発育、歯列の発育を簡単に歪ませてしまいます。
赤ちゃんの全身が、左右対称的に、健やかに発育するように
注意する必要があります。
■「正しい呼吸」とは、鼻呼吸のなかでも横隔膜を動かした「腹式呼吸」
胸や肋骨を動かして、呼吸する“胸式呼吸”だと、呼吸が浅くなり、
呼吸の回数が多くなります。
そして、口呼吸になってしまう方が、多くいらっしゃいます。
逆に、お腹を前につき出す(おへそを前につきだすような動き)の
“腹式呼吸”を行う事で、鼻呼吸を獲得しやすくなります。
腹式呼吸のポイントとしては、
●しっかり息を吐き切る
●お腹(おへそあたり)を、大きく前につきだす
●ゆったりとした呼吸で
の3点が挙げられます。
当院では、
“口を閉じたまま、鼻から息を2秒吸って、鼻から息を4秒で吐く”
と指導させて頂くことが、多いです。
また、足底がしっかりと地面につく姿勢をとると、
正しい呼吸を行いやすくなります。
足台を置くなど、工夫してみて下さい。
普段から足底を地面にしっかりとつけて、腹式呼吸を行いましょう。
姿勢のサポート
■食事の椅子は足の裏が付くようにする
足がぶらぶらした状態では、姿勢が安定せず、
重い頭を支えることができません。
足の裏が接地するように、椅子を調整することで、
姿勢が安定し、しっかりとした咀嚼ができます。
■赤ちゃんを抱っこする姿勢に気を付ける
赤ちゃんが、頭をのけぞらせるような姿勢は、
口が開き、口呼吸になってしまいます。
足をM字に開脚にして、背中はゆるやかに丸く抱くことで、
赤ちゃんの口は自然に閉じられ、鼻呼吸になります。
口を閉じていられる姿勢が、「正しい姿勢」「良い姿勢」となるのです。
■ハイハイを十分にさせる
ハイハイは、頭を支えるための背骨の発育を促し、
体幹を育てるために重要です。
重い頭を支えるために、首から背骨、足の発育のために
ハイハイを十分にさせることが大切です。
実は、早く立たせること、早く歩かせることは良くないのです。
また、首すわり→寝返り→ハイハイ→お座り→つかまり立ち→あんよの
順番を飛ばすことは、良くありません。
体幹を育て、正しい姿勢を保つことで、鼻呼吸が促されます。
足の指を真っすぐに育て、5本の指で体重を支えることが大切なのです。
最後に
いかかでしたでしょうか。
「口腔機能発達不全症への対策とアプローチ」について、
「食」「呼吸」「姿勢」の3つの面からお話させて頂きましたが、
なんとなくお分かり頂けたでしょうか。
お口の発達には、全身の発達が関わっていることが
感じられたと思います。
小児期に、口腔機能を獲得することは、
生涯の健康寿命にも、大いに関係するので、
現時点でしっかりと対策を行い、
口腔機能を発達させることが、とても大切です。
「子どものお口の成長や癖で気になることがある…」
と思われた方は、ぜひヨリタ歯科クリニックで、相談してみてください。
次回のブログで、年内最後の更新となります。
ヨリタ歯科クリニックの、管理栄養士が考案した
季節の食材を使ったメニューを、掲載させて頂きます!
次回の更新も、楽しみにしていてくださいね!
参考文献:子どもの咬合を考える会 不正咬合を予防する子育て10ヶ条
~新生児期・乳幼児期編~
:口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方 (令和2年3月 日本歯科医学会)
<ヨリタ歯科クリニック 管理栄養士チーム>