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[’07/11/1] 最先端治療インプラント

㈱ルナ・メディカル新聞社が、毎月第一木曜日発行している、
健康と未来を見守る情報誌「るなネット」vol.61号が2007年10月4日に出ました。
(配布地域は、奈良市、生駒市、京都府木津川市、京都府相楽郡)

その中で今回は、最先端治療「インプラント」というタイトルで、
先日取材を受けたものが、記事になりました。

その内容を紹介します。

インプラント治療とは

歯科においてインプラント治療とは、簡単に言うと、
「歯のない所に、人工の歯をつくる」ということでしょうか。

虫歯や歯周病、外傷等によって歯を失った方の顎の骨に
人工歯根を埋め込み、義歯が簡単に外れないように固定し、
以前あった自分の歯と同じ感覚で
ものが噛めるようにするというものです。

人工歯根に現在多く使われている素材は、
純チタンかチタン合金で出来ており、

形状はネジのようになっているものが主流です。
そこにセラミックの義歯を固定します。

インプラントは基本的に骨と密着させてつくるので、
着いてしまえば入れ歯のようにずれたり
外れたりする心配はありません。

スウェーデンのブローネマルク博士によって開発され、
臨床に移されてからは約35年と言われています。

「一生持ちますか?」とよく聞かれるのですが、
例えば30歳くらいの方がインプラント治療を受ければ、
〝一生〟というのは50年程ですね。
現時点では50年のエビデンスがないので
経験的に「持つ」とは言えませんが、
臨床では15年くらいの予後を見ています。

以前は粗悪なものやインプラントの当初の問題として
予後の悪いものもありましたが、
最近では、「15年で95%以上」というデータが出ていますから、
かなり良くはなってきています。

インプラントをするのに年齢的な制限はありませんし、
ほとんどの成人に適応しますが、
それが適しているかどうか顎の骨の量や状態、
及び全身の状態から判断します。

「入れ歯」をすることになったご高齢の方が、
やはり入れ歯だとものが美味しくないということで
インプラントを希望されることが多いですから、
受けられるのは50歳以上の方が多いようです

インプラントのメリット

利点は何と言っても、自分の歯と同じ感覚でものが
噛めるということでしょう。

インプラント治療が始まる前は、「ブリッジ」治療が行われていました。

これは、失われた歯の両隣の歯を削り、連結させた冠を被せて
真ん中の歯のない部分を義歯で補うというものですが、
その義歯は歯肉の上に乗っているだけで感覚はありません。

また、冠を被せる厚みの分、健康な歯であっても
両隣の歯を削らなくてはならないので、
それらの歯の治療も必要になりますし、
両隣の歯に負担がかかり過ぎるケースも出てきます。

インプラントの場合は、欠歯の部分の顎の骨を利用して治療するので、
両隣の歯を触る必要はなく、両隣の歯に負担がかかることもありません。

また、インプラント治療によってつくられた歯は
虫歯になる可能性もないのです。

インプラントのデメリット

インプラントのデメリットとしてあげられるのは、
やはり高額な費用がかかることでしょう。

手術の内容によって多少異なりますが、
インプラント代に被せが入ってきたりしますので、
結果的に1本40~50万円かかります。

しかしながら、これを高いと見るか安いと見るかは
個人の価値観の問題です。
極端な話をすると、例えば私が歯の研究のために
あなたの歯を1本100万円でくださいと言っても、
普通、100万円では渡しませんね。

そのように考えると、1本40万円か50万円で歯が生えるとなれば
そんなに高い気はしないでしょう。

例えば、被せ物をした場合、
平均して7年くらいでやりかえたりする必要が出てきます。
歯があるところに被せ物をして7年くらいしか持たないのなら、
歯が全くないところに歯を植えて15年持つというのは、
一般の治療に比べてリスクが少ないのではないかと考えます。

インプラントを埋め込んだ部分が感染すると、
歯槽膿漏と同じで周りの骨が溶けてきますから、
骨がなくなってしまう可能性も考えられます。

また、インプラントを埋め込む方向によって、
骨の下に走っている神経を傷つけてしまって
麻痺が起こるという可能性も捨て切れません。

インプラントはついているけれども、唇の感覚が戻らないというような
アクシデントが起こる場合も考えられます。

だからこそ、正確な診査・診断が大事なんです。

治療法

インプラント治療には一回法と二回法があります。
今行われている多くは二回法で、ネジ頭が完全に歯茎に埋もれ、
外からは全く見えず、感染しにくいのが特徴です。

一回法の場合は、ネジ山が歯茎から出ているため
感染する恐れがあること、
歯茎が退縮すればインプラントが見えてくる可能性があります。

ただ、医師の手技や考え方によって一回法で行われる場合もあります。
骨の厚みが十分であれば、一回法で仮歯を入れるという方法も
とられるようになっています。

原則的に、一般の歯科医院の外来で日帰りの局所麻酔で対応できる
簡単な手術なんですが、術後も骨とくっつく期間が必要ですから、
治療完了までは2カ月~6カ月くらいかかると言われているのです。

基本的には骨の中に埋め込んでいるので、
その間もそこに入れ歯を入れたりすることができますし、
術後1週間くらいで抜糸して歯茎が固まってくれば
噛めるようになります。

インプラントが絶対最良の方法だというわけではなく、
入れ歯でもブリッジでもメンテナンスをきちんとしていけば
長く持ちますし、使い勝手も良い状態が保てます。

ただ、ものを美味しく食べられるという点では、
やはりインプラントが勝ることは事実で、
今後はますますニーズが高くなっていくでしょう。
最も大切なのは、医師の技量と設備です。

今はまだ数は少ないですが、歯科用のCTも登場していますから、
平面的なものではなく、手術前に骨の形や厚みなど
かなりの情報が得られます。

大きな病院の口腔外科には設置しているところがありますから、
そこで撮ってもらうといいでしょう。
インプラント治療を受けようと考えておられる方は、
事前にちゃんとした設備があるか、
年間どれくらいの手術件数があるのかを聞いておくことです。

目安として、年間、100件以上をこなしている所なら
安心して良いと思います。

知っているようで、意外に知られていない。
もしくは、間違って伝わっていることも多くあります。

その中で、最新の、そして正しい知識をお伝えすることも大切であると
日々の診療の中で痛感しております。

これからも、健康情報を発信し続けてまいります。

 <インプラントがあなたの常識を変える 寄田 幸司>

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