私たちの恐るべき対応
11月2日水曜日は普段休診日、翌3日は木曜日文化の日で休み。
そして休み明けの4日、金曜日の初診患者が多く訪れる午前、こんな事が起こりました。
前歯のかぶせが取れて訪れた女性の患者様、Aさん。
Aさんの前歯は根っこしか残っていません。見た目が悪いためどうしても、その場で仮歯を作る必要があると判断しました。
そして一人のドクターにお願いしました。
しかし、あいにく、そのドクターの 同じ時間帯に予約の患者様Bさんが来院されました。
2人の患者様に同時に満足して頂くことは難しい状況。時間的な余裕がなく、Aさんにきれいな仮歯を作ることができないまま、Bさんの治療に移りました。
ちょうど私がその仮歯に気付いたため、形を整え何とか喜んで頂く事が出来ました。
ここで私が疑問に思ったこと。
時間がない状況でも、Aさんに仮歯はどうしても必要です。ならば、Bさんにそのことをお話し、Bさんのお時間を少し頂いても良いのではと。
たとえ時間がなくても、心からの対応、もてなしが出来るはずです。
私ならこうお話したかもしれません。
Aさんへは
「前歯がないと不便ですね。少し時間がかかっても仮歯を作りましょうね。」
「このままでは取れやすいので、土台を少し長くしますね。欠けた歯の一部が、 ザラザラしているので、少し丸めましょうね。」
「歯の隙間が大きいので、このまま作ると幅が大きな歯になりますね。 取れる前はどんな歯でしたか。歯と歯の間はすいていましたか?」
「仮歯が取れやすいので、咬み合せはあてないようにします。」
「それでももし取れましたら、いつでもお越し下さいね。」
Bさんへは
「今、急患で、前歯が取れた人が来院されました。あなたのお時間を少しだけ、その方に頂けないでしょうか。」
「その間は歯ぐきをよくするため、衛生士さんがお口のクリーニングをさせて頂きます。ご安心下さいね。」
「もしあなたが、急患でお越しになられた時は、私が必ずお時間を取って診させて頂きますからね」
もしかすれば、このお言葉がけで、お2人ともお待ち頂くことへのご理解を 頂けるかもしれません。
たとえ思うような仮歯を作ることが出来ない場合でも。
「今日お昼のこの時間は、少し余裕があります。もう一度お越しいただいても よろしいでしょうか」とお話することも出来るでしょう。そして、その日の夜、診療終了後、Aさんにお電話してはどうでしょうか。
「今日は十分お時間取れなくて、申し訳ありませんでした。仮歯の調子はどうでしょうか。
見た目は大丈夫でしょうか。ザラザラしていませんか。何かありましたら、私○○が対応させて頂きますので、いつでもお越し下さい。」
必ず誠意は伝わることでしょう。
患者様にとって、前歯が取れたことは、アクシデントだったとしても、その後訪れた医院で、 あるドクターから心からの対応を受けたことは サプライズな出来事になるかもしれません。
「こんな素晴らしい歯科医師がいるなんて」と思っていただくことも可能です。
まだ若く技術に自信がないから、患者様を満足させることが出来ないのではありません。
また、出来ない理由を挙げてはいけません。
技術で勝るドクターより、出来ることを見つける努力をして下さい。
あなたの日頃の積極的な姿勢なら、必ず出来ます。あなただから出来る心からのもてなし、 あなたしか出来ない心配りをして下さい。
そして「あなたがいるからここに来ています」という、あなたのファンに出会って下さい。