歯型をとる前に
歯医者さんで歯型をとった経験はありますか
歯型をとることを、歯科では「印象をとる」と言い、型をとる材料を「印象材」と言います。
現在、歯科医療で最も使われている印象材は、アルギン酸を主成分としています。
アルギン酸は、私達に馴染みのある食べ物の原料でもあるんですよ。
それは、かまぼこです
かまぼこは、スケソウダラのすり身をアルギン酸で固めたものです。
あの独特の食感は、アルギン酸の性質だったんですね。
アルギン酸印象材は使い勝手が良いため、歯型をとる方法として広く普及していますが、今日の歯科医療水準が要求する精度を十分満たすことはできません。
そこで、精密な印象がとれる、シリコンゴム系の印象材などを使用することもあります。
そうしてとった印象に、石膏を流し込んで歯の模型を作ります。
その模型を使って、歯の詰め物などを作りますが、現在の歯科医療の水準は、10ミクロン(1ミリの100分の1)以下の精度を目標にしています。
このように、歯科医療はこれまで、いかに精密なものを作るかをたえず追及してきました。
ところが、どんな精密な型をとろうとしても、患者様の歯に食べかすが残っていたり、歯ぐきが腫れていてすぐに出血するようでは、私たちの苦労は水の泡になり、精密な型がとれません
そのため、治療中の歯や歯ぐきの衛生管理も非常に大切なことなのです。
歯科治療に先立って、歯みがきの指導をしたり、歯石を取ったりして、お口の中を清潔にするのはこのためです。
より良い口内環境にするため、これからもトータルケアをご提案していきたいと思います
森山 知子