[’09/8/27] 思いを形にする(49) ドクター研修 その③
今回は診療後行っている症例検討会について、少しお話します。
私たちの医院は、開業して18年。
しかし今でも私たちの医院を初めて訪れる人は、月100人以上。
そのほとんどが家族や知人、友人からの紹介。
すなわち、クチコミです。
遠方からお越しになる方も、多々いらっしゃいます。
本当に有難いこと。
その人たちは、もちろん歯科医院に生まれて初めて訪れたのではありません。
かかり付け医があるにも関わらず、また数々の医院を受診したにも関わらず、
何かの噂を聞いて、私たちの医院を訪れるのです。
「ここなら、私の要望を聞いて頂けるのではないか」
そんな、切なる願いを持って。
初診で訪れた方は、全てカウンセリングを行います。
患者様の思いを時間の許す限り、お聞かせ頂きます。
それをカウンセラーはカウンセリングメモに書き取り、担当医に伝えます。
担当医を中心に、チーム全体で初診の方へ信頼と満足度を高めていきます。
ここで大切なのが、治療計画。
私たちはただ単に、レントゲンと検査結果だけを基にして、
治療計画を立てるのではありません。
初診カウンセリングメモに書かれている、患者様の真の要望を
最大限に引き出し、治療計画を立てる必要があります。
私たちのように、カウンセリングから始まり、スマイルアンドコミュニケーションを
大切にしている歯科医院でさえ、真の患者様の要望に沿った
治療計画を立てることは、容易ではありません。
だから、症例検討会で私の思いを伝えています。
何故なら、ドクターは職人。
自分の考えや、やり方を押し付ける傾向があります。
何故なら、ドクターは技術職。
自分の持てる技術を、ひけらかす傾向があります。
何故なら、ドクターは自信家。
こうあるべきと、自分が思う理想を追求する傾向があります。
この患者様は、時間がないから1度に多く見てほしい。
だから、1回1時間取り集中して治療を始めていきましょう。
この患者様は、削るのがイヤ。
だから、主訴を改善したら治療に慣れ、安心してもらうよう、
小さな処置から行い、出来る限り緊張を取り除きましょう。
この患者様は、歯を抜かれるのがイヤ。
ならば、何とか抜かなくてもいけるよう、全力を出しましょう。
患者様の立場に立って考えれば、検査やレントゲン結果が同じでも
治療方針は、その人より大きく変わります。
いや、変わらないといけないと思っています。
まずは患者様の要望に、出来る限りお応えする。
そして患者様が、自ら選んだ治療方針に沿って治療を進める。
だから、最高の満足を得ることが出来るのです。
その結果、今後何かあれば、私たちの提案も素直に聞き入れてくれることでしょう。
信頼関係を築くことが、まずは第一優先。
物事には、順番があります。
一方向に説明する、こうすべき、これしかない、今しないと大変なことになる。
そんな威圧的な態度の中から、信頼は生まれません。
症例検討を通じ、柔軟な考えをする。
色んな方向から、検討出来る力をつける。
人の話しを、素直に聞く姿勢を身に付ける。
お互い、意見を言い合える関係を作る。
これが大切であると、考えています。
<症例検討会で熱く思いを伝える 寄田幸司>