Vol.185 2014 ワクワク楽しい経営日記パート6 ~私たちのあるべき姿 その① 10年後の歯科界~
これからは、私たちのあるべき姿、そう10年後の理想のヨリタ歯科クリニックについて
詳しくお話ししていきたいと思っています。
まずは、10年後の歯科界についてお話しします。
こんな質問を頂きました。
■質問1
「今後、10年先の患者さんの状況、歯科界の状況がどうなるとお考えですか?
また、そのお考えのもとになったことをお聞かせください。」
明確なことは、先進国でも日本が類も見ないくらいのスピードで急速に、
少子高齢社会に突入していることです。
2010年、65歳以上の人口が総人口に占める割合は、23.1%。
約4人に1人が老人になります。そして、2050年は35%を占めるようになります。
また、2010年の出生率は、1.39.。
人口の維持には、2.07が必要。
ということは、この先、日本の人口はどんどん減少していくことになります。
具体的には、2010年は12800万人でしたが、
2050年には8833万人にまで減少すると予測されています。
今後5年~10年先を考えると、明らかに医院を訪れる患者様の数が減少します。
患者層も、子供が減少し、高齢者が増加します。……ということは、保険診療が
さらに少なくなります。(高齢者は、削る歯自体が少ないので)
これは、間違いないこと。
また、これは働くスタッフも同様。
ドクターや衛生士などの有資格者は、言うに及ばず、健康プロモーターや
スマイルクリエーターなどの無資格者であっても、能力の高い新卒採用は
さらに厳しくなります。
顧客獲得ばかりでなく、
有能なスタッフの採用確保さえも、あやぶまれる時代になってきます。
そう、今までの右肩上がりの高成長は望むべくもありません。
長期安定が出来れば、十分。
実際には、現状維持自体が大変な時代に入ります。
少子高齢社会になるにつれ、日本の国も衰えていきます。
今年、3月8日発表した、1月の経常収支は、過去最大の4373億円の赤字。
貿易立国の日本の今後の成長に、赤信号が灯りました。
そのため、国力が低下し、医療保険や年金などの社会制度もほころび始めています。
ということで、今後医療費の一部負担のさらなる増加や
受診抑制が起こることも、予想されます。
にも関わらず、歯科医師過剰問題は、全く解決されていません。
何故なら、医師におけるあらゆる診療科全ての医学部定員が9000人であるにも
関わらず、歯学部単独の定員が2500人。
平成22年、歯科医師数が、10万人を突破。
今なお、急激に増加しています。
現在コンビニの1.6倍。
日曜診療や、深夜診療を行う歯科医師も増加。
東京都内では、1日1件ペースで廃院に至っています。
具体的には、歯科医院数は、平成2年から平成20年にかけ、3割増加。
その間、医療制度改革で歯科医療行為当りの診療平均単位は、逆に約15%減少。
しかも、国民医科医療費総額が、20兆円から30兆円に増加したにも関わらず、
国民歯科医療費は、2.5兆円のまま。
その結果、私立歯科大歯科部の入試での定員割れが目立つようになり、
2010年の大学入試では、全国17校の私立歯科大、歯学部のうち、
入試競争率2倍以下は、14校 82.4%になりました。
将来の歯科医師の質的劣化や、歯科医療水準の低下も懸念されています。
残念ながら、この先、5~10年は、この状況が変わることはないと思います。
ということで、10年後のヨリタ歯科クリニックを語るはずが、
いきなり、夢のない話からスタートすることになりました。
しかし、悲観することはありません。
だからこそ、今からさまざまなことに、チャレンジしていくことが大切なのです。
―――― 今回の学び ――――
ワクワク楽しい歯科医院は、10年後の業界の姿を冷静に見据えています。