Vol.137 2012ワクワク楽しい経営日記パート6 ~学生時代の、学び~
『歯科医療は、サービス業』
ここで、大学時代の私について、ふれてみたいと思います。
当時から、歯科業界は厳しいぞと、大学の先生からも言われていました。
私の実家が、商売をしていたので、 “ビジネス”視点で“歯科医療”を、
入学当時から見ていました。
たとえ、医療といえども、利益が上がらないと設備投資も出来ない、
やりたいこともできない、良い人材を長期的に安定して雇用も出来ない。
早期に、採算ベースに乗せ、なおかつ投資に見合った利益を得ることは、
医療であっても、絶対に必要だと思います。
1月から始まって12月まで、
臨床実習は続きます。
特に、自費診療。
メタルボンドや、金属床の価格が大学病院ということもあり、すごく安価。
提案をすると、皆が皆、『是非やってほしい』と。
自分で契約したものは、自分で作ることが出来ました。
メタルボンドも、焼成しました。
金属床も、何症例も鋳造して作りました。技工も出来た。患者様も診れた。
だから、卒業をする時点で、このまま開業できるんじゃないかと思いました。
ここで、自慢話をさせてもらいます。私たちの学年は、82名。
その中で、臨床実習で看護師さんの人気投票で、なんと№1が私。
その理由は、特に私がカッコいい、仕事が出来る、そんな訳ありません。
もっと美男子で、仕事ができる、私も憧れる同級生は、
片手で数えきれないくらい、いました。
では、なぜ私が。
看護師さんは、大忙し。
私たち学生は、午後の診療は、大体4時に終わります。
診療が終わった後、洗い物や滅菌が、結構溜まります。
私は暇なので、看護師さんと一緒になって洗い物を手伝ったり、
滅菌をやらせてもらったりと、後片付けを手伝っていました。
こんな私でも、お役に立てればと思い、お手伝いしていました。
その姿勢が評価され、人気を得たのです。
ここで学んだこと、それは、相手の立場に立ち、物事を考えることの大切さ、
相手の目線で動く事の大事さ。
率先して手伝うことは、人の上に立つリーダーとして、すごく大事であると、
その時体験として学びました。
そうです。
指示するのではなく、まずは自分から動くことです。
私には、時間がありました。
私の診療が終わってからも、看護師さんの忙しそうに働いている姿を、
いつも見ていました。
当時は自分に出来ることは、何でもしようと思っていました。
そこで、『お手伝いしましょうか?』と声をかけたら、すごく喜んでくれたのです。
喜んだ顔を見ると、もっとやりたくなるもの。
こんな学生の私でも、力になれるものですね。
●就職について
私は岡山大学の2期生。先輩がいません。
OBがいない、歯科医師の息子でもない、コネクションが全くなかったのです。
その反面、出来るだけ早く、地元大阪に帰って、独立開業したいと強く思っていました。
たまたま、岡山大学の正門前に、
歯科器機メーカーの『㈱モリタ』さんの岡山営業所があり、
私は夏休み前、直接営業マンに電話をしました。
その目的は、地元大阪で勤務医を募集していない、
もしくは1人で開業しているところで、なおかつ人間的にも、技術的にも
評価されている先生を、何人か紹介して頂くため。
……これってかなりの、欲張り。
ラッキーなことに、『㈱モリタ』さんは、本社が大阪。
地元の先生のつながりも強く、何人か紹介をしてくれました。
夏休みに入るとスグ、見学に行かせて頂きました。
なぜ、見学の際、条件を付けたのか。
それは勤務医を募集していない先生の方が、本音を語ってくれるから。
具体的に、こうすれば良い、これはやめた方がいいと、学生の私にだったら、
色々とアドバイスをしてくれるのではないかと。
また、評価の高い先生というのは、どういう先生なのか、
開業医レベルで、どれぐらいの治療が出来ているのか、実際に見たかったのです。
といっても、何の知識も経験もない私。
治療内容については、さっぱり分かりませんでした。
見学に行くと、時間をとって私の質問に答えてくれました。
たとえば、大学を卒業してから、どういう勉強会に行ったのか。
どういうところで、勤務をされたのか。そこで何を学んだのか。
何故、今の診療方針に至ったのか。
大学を卒業してから、今までの過去の経歴、プロセスを知りたかったのです。
何人かの先生に、お会いさせて頂くことで、
『自分もこの先生のやり方で、こういう医院を作りたい』
『この先生は、自分と考え方が違うな』
と感じ、自分なりに進むべき道が、明確になってきました。
『どういう歯科医院を作りたいのか』、とか、『どんなドクターに、なりたいのか』、
今まで、それさえ全く分からなかった。
それが漠然とですが、初めて明確になりました。
秋頃から、大学には勤務医募集の求人がたくさん来ていました。
そして、満を持して、求人募集の医院に、見学に行き始めました。
多分、学生時代、私と同じことをやっていた同級生は皆無。
そういう意味で、他人とは違う行動をしていたのではないかと思います。
そして、他と違うことをしたから、違う結果になった。
答えは、シンプルなのです。
―――― 今回の学び ――――
ワクワク楽しい歯科医院には、過去の思いが詰まっています。