ドクター研修レポート

【09/05/25】 静寂を待つ

以前に引き続き、今回も田坂広志さんの著書
自分であり続けるために』から、“静寂を待つ”

静寂を待つ

1994年の将棋・竜王戦、第六局、
羽生善治棋士と佐藤康光棋士の対戦でのことです。

開始の合図があったにもかかわらず、
先手である羽生棋士が、なかなか第一手を指さない。

目を閉じ、考え込んでいる風情のまま、数分間が過ぎていきます。

そして、観戦の人々がざわめき始めたとき、
羽生棋士は、眼を開け、ようやく第一手を指しました。

このときのことが、後日、詩人の吉増剛造氏との対談で話題になりました。

吉増氏から、「あのとき、迷いが出たのですか」と問われ、
羽生棋士は、こう答えました。

いえ、そうではありません。
静寂がやってくるのを、待っていたのです。

この羽生棋士の言葉は、一つの真実を、我々に教えてくれます。

最も大切な勝負の瞬間や、最も重要な決断の瞬間には、
深い直観力が求められる。

しかし深い直観力が働くためには、
深い静寂心が求められる。

羽生棋士が教えてくれたのは、その真実でしょう。

そして、この事実から、
我々は、一つの逆説を学びます。

極限の意思決定を前にして、
最も大切なことは、
いかなる「選択肢」を選ぶかではない。

いかなる「心境」で選ぶかなのです。

新人研修の第2ステージが、終わろうとしています。
来月から、いよいよ第3ステージ
院外研修と一部ドクターは、独立(一人立ち)が始まります。

誰をどの医院に、どれだけの期間、配属するか。
独立の時期を、いつにするか。
また、水曜日メンバーも、さらにヨリタらしい対応が出来るよう一部変えよう。

など、いつも迷いながら、進めています。
その時、思うこと。
何を選択するかではない、心を静め冷静に判断する「心境」で選ぶかが大切。

分かっているけど、ついつい感情で、ものを言ってしまいがち。
その時々の直感で、判断しまいがち。
トップとしては、慎むべき行動です。

何故なら、その人の将来がかかっているから。
人生が、かかっているから。
これからも、いつも心を静寂に保ち、今考えられるベストの選択をしていきます。

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