ブラックスワン
1697年にオーストラリアでブラックスワン(コクチョウ)が発見されるまで、西欧の人たちはスワン(ハクチョウ)は白い鳥の事だと信じていました。 英語ではブラックスワンは「あり得ない事」「起こりえない事」の比喩で、無駄な努力をすることを「ブラックスワンを探すようなこと」といったのです。
旧世界では何千年にもわたって何百万羽ものハクチョウが観察され、羽の色が白い事が確認されてきました。この当り前の事が、たった一羽のブラックスワンによって完全に覆されてしまったのです。
こんにちは山口です。
突然白鳥の話から始まりましたが、これは最近読んだ本の冒頭文です。
自分の周りの常識と思っている事も、本当にそうなのか…。 そんな柔軟な視点が大切なのかもしれません。
歯科の世界ではインプラントが、そうなのかもしれません。
インプラントができる前は、歯周病でグラグラになった歯を匠の技術で残し、 さらに芸術的なテクニックのかぶせ物で繋いで固定する(歯周補綴と言います) そんな技術が素晴らしいとされていました。
しかし、その後インプラントの出現で一変します。
「(インプラントをするのであれば)重度の歯周病の歯を無理に残すと骨が溶けてしまうため、 良くない歯は早めに抜歯した方が良い」と言われるようになり、(戦略的抜歯と言います)
その後、インプラントは大ブームを起こします。
「良く無い歯を(限られた人しかできない)匠の技術で残すよりも、
抜歯して(比較的誰でもできる)インプラントにした方が良い」とまで言われるようになりました。
つまり、インプラントの出現が抜歯の基準を変えてしまったのです。
もちろん実際はケースバイケースで、こんなに単純な二元論的な話ではありませし、 ここでは、実際どちらが優れているかという事に言及はしませんが、 今の歯科の常識が、10年後も常識かどうかはわからないという事は確かだと思います。
僕も、知らず知らずのうちに「ハクチョウは白いという」固定観念にとらわれたい様に?
柔軟な視点を持ち続けていきたいと思います。