[’08/3/21] 勤務医時代の学び
先日のドクター勉強会の帰り道、勤務医の先生からある質問を受けました。
「先生は勤務医時代、何を学びましたか」
私が勤務医をしていた頃は、もう何十年も前のこと。
しかし、「そんな昔のこと忘れてしまいましたよ」とは、言いませんでした。
何故なら勤務医時代の4年間は、私にとって歯科医師の基礎をする時期。
そう、大切な人生修行の場でした。
早く一人前になりたい。立派な歯科医師として周囲から認めてもらいたい。
社会人としても自立した人間になりたい。
その一心でした。
そして、勤務医の4年間で実践したこと。
入社直後の3つの決断、今日はそのうちの一つについてお話します。
その① イニシャル
私が勤務した医院は、ドクターも多くいました。
そのため院内では、全てイニシャルで呼ばれていました。
私たち新人ドクター4人に与えられたイニシャルは、以下の4つ。
B,C,E,P。
その中で私が迷わず選んだのは、B。
その理由は、経営者である院長先生が、Aであったから。
そう、Aの次はB。
私の憧れメンターである先生に、一歩でも近づきたい。
「さすがB先生」と呼ばれたい。
ただ、それだけの理由でした。
その日から常に、「AのつぎはBだ」と心でつぶやき診察しました。
その② 専有チェアー
この医院では自分が使用するチェアー(診察台)が決められています。
そのため独立する時、専有チェアーを決めることになりました。
医院には1~9番までのチェアーがあります。
そして迷わず私が選んだのは、4番。
そう野球に例えるなら、4番はチームの稼ぎ頭。
4番バッター、すなわちスラッガーになり、
記憶にはもちろん、記録にも残る名選手(名医)として金字塔を立てるべく、
華々しく活躍したかったのです。
いつも、脚光をあびていたかったのです。
しかも、4番チェアーには壁に面した窓があり、
個室感覚で、思う存分診察に集中できたのです。
その③ 入社時には退職日を決める
この日を決めていたのは新人ドクターでは、私だけ。
学ぶ期間を限定することで、この短期間に何を学べばよいか、
実践すべきことが明確になります。
また退職日から逆算して、いつまでにどのレベルに達成する必要があるかも、
おのずと明らかになります。
日付を付けることで、学ぶ姿勢や行動が全て変わってきます。
入社直後、この3つを惑わず決断したことで、モチベーションがメチャクチャ上がりました。
「やってやるぞ」
「君なら出来る」
「やる前から結果は決まっている」
そう自分に言い聞かせながら、日々の診察や難症例に取り組んできました。
そして、自分でも信じれば結果を出すことが出来ました。
具体的には、あまりに業績が上がりすぎたため過去には設定がなかった
高い昇給の基準が出来ました。
そして、それを毎年クリアすることが出来ました。
「何ごともスタートが肝心、すなわちスタートから全力を出す、
限界までチャレンジすることが大切。
そして、結果を出せば次の目標が見えてくる。
そのことでさらに、自分自身の能力が開花する。
だから今から実力を出し切る姿勢を、私に見せてくれませんか」
そう尋ねてきた勤務医1年目の先生に、お答えしました。
やるやらないは、本人次第。
しかしやる気にさせる、人が伸びる環境を作るのは経営者次第。
今過去を振り返ってみれば、やはり勤務医時代の恩師であり、
今も私のメンターである、小室甲先生の笑顔が浮かびます。
いい師にめぐり合えたこと、感謝の気持ちでいっぱいです。
<いつも脚光をあびるスラッガーでいたい 寄田 幸司>