受付業務研修を終えて
五月七日からの二週間、僕は受付業務を体験させて頂くことになりました。
ヨリタ歯科クリニックに勤務して9ヶ月、診療室の中の仕事はある程度
できるようになったのですが、こと受付業務に関しては全く理解していなかった
(しようとしていなかったのですが)ため、
今回、新人研修に一環として受付業務研修を行うことになりました。
そのなかで僕が学んだことをまとめたいと思います。
電話対応について
朝は毎日診療開始一時間前には出勤し、受付でその日のカルテチェックを行って
いるのですが、その間に受付の電話が鳴ることがよくありました。
しかし、僕はヨリタに来て一度たりとも、その電話に出たことはありませんでした。
その理由としては、
①電話に出たところで、予約の変更の仕方が分からない
②きちんとした対応(ヨリタ歯科らしい対応)が出来るか不安
③単純に面倒くさい
等の理由です。
信じられないかもしれないでしょうが、たかがそんな理由で
9ヶ月もの間、電話に一切出ようとしなかったのです。
今思えば、非常に馬鹿げています。
この二週間の受付業務研修を終えて、僕は自分の考えを改めました。
具体的には、
①やり方が分からないからしない、という発想は捨てる。
どんな些細なことでも分からなければ聞けばいいし、ヨリタ歯科のスタッフは
聞けば誰でも親切に教えてくれる。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」
②きちんとした対応が出来るに越したことはないが、それが出来ないからといって、
しないといつまで経っても出来ないままである。
そもそも上手く喋れなかったとしても、一生懸命であれば必ず患者さんには伝わるはず。
また、マニュアル通りに対応できたとしても、そこに気持ちが入っておらず、
流れ作業に電話対応するぐらいなら、マニュアルなんかなくても一生懸命に
対応するほうが患者さんにとっても嬉しいはず。
③面倒くさい、という発想からは何も生まれてこない。
「僕がその電話を取ることによって、受付さんの仕事が一つ減ってよかった」くらいの
発想が出来なければ、ヨリタ歯科の人間として、いや、一人の人間として成長しない。
といった感じです。
こんな単純なことに、9ヶ月の間気付きませんでした。
いえ、気付こうとしなかったと言ったほうが正しいのかもしれません。
「見ようとした人のみに、見える」
「気付こうとした人にのみ、気づきが与えられる」のです。
受付カウンターが切られている理由
このことに関しては、ヨリタ歯科のHPにも載っていますし、
寄田先生もいつもおっしゃっているので、当然理解していました。
その理由は、
「来院された患者さんを受付越しに対応するのではなく、
入り口付近までお出迎えするため」
のものなのですが、実際に受付にいてその光景を見てみると、
単純に、それだけの理由だけではないことに気づかされます。
上手く言葉では言い表せませんが、受付と待合、そして受付と診療室とが
一体になっているような感じがしてならないのです。
スマイルクリエーターのメンバーは、受付カウンターにとどまらず、
待合にも頻繁に向かい、患者さんとコミュニケーションを取っているし、
また診療室に向かいスタッフやドクターに連絡事項を伝えたり、カルテ出しを行ったり、
見学者の方の対応を行ったりと院内を縦横無尽に駆け回っています。
そんな彼女たちを見て、正直かっこいいとさえ感じました。
スマイルクリエーター
はっきり言って、ヨリタ歯科の受付業務は激務です。
一日100人をゆうに越える来院者がいて、電話もひっきりなしにかかってきます。
スマイルクリエーターとして、笑顔を絶やすことは出来ませんし、
毎日のように見学者が来て、彼女たちの様子を観察しています。
そのプレッシャーたるや、半端なものではありません。
また医院の最前線で、クレーム処理も行わなければいけません。
給料が、すごく高いわけでもありません。
そんな環境の中、スマイルクリエーターメンバーは手を抜いたり、さぼったり、
または、激務に嫌気がさして辞めていくことはありません。
ぼくはそれが不思議でしょうがなかったのですが、その理由がなんとなく
分かってきたように思います。
それは、
①自分たちが、ヨリタ歯科の顔であるという誇りがある
②一人一人が自分は、ヨリタ歯科に必要な存在であるという自覚がある
③モチベーションの高い仲間が、常にそばにいる
などという理由からではないでしょうか。
僕は院長からよくご指摘を受けるのですが、こういった思いが
今の自分には不足していると感じます。
そもそも、僕がヨリタ歯科に就職しようと決意したのは、
この思いの部分を高めたいと思ったからです。
しかし今の自分を振り返ってみると、日常の臨床で実践できていないというのが現実です。
ヨリタ歯科の環境は、自分を高みに持っていくには最高の環境だと思います。
ここで自分を高められない人間は、きっとどこにいっても無理でしょう。
それだけこの環境は素晴らしいにも関わらず、それを活かしきれていないということに、
この受付業務研修を通して、振り返ることが出来ました。
勤務ドクターは受付に配置せず、診療室で診療させておくほうが、
医院の売り上げは上がるでしょう。
しかし、あえて受付に配置させ、気付きを与えるところに、
寄田先生の常人離れした人材育成を垣間見ました。
そして実際、僕は多くの気付きを得ることが出来ました。
こういった機会を与えて下さった院長に、感謝しています。
そしてなれない環境で、スマイルクリエーターのメンバーには、
いろいろとご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。
今回の研修を通じて、僕が歯科医師として更なる高みへと
駆け上がっていくことをお約束します。