もしもあなたが、不運にも大きなむし歯になり、歯型を取り、
「歯のかぶせもの」を入れることになったとしたら。
まず頭に浮かぶこと。それは、
「今後、どんな治療になるのだろう」
「何回くらい、治療がかかるのだろう」
「期間や費用は、どれくらいだろう」
「どれくらい、長持ちするのだろう」
さらに、「ゆっくり話を聞いてもらえるのか」、など。
不安と期待が入りまじった、複雑な気分になります。
突然ですが、ここであなたにご質問です。
あなたの体の一部である、「歯のかぶせもの」が、
どのように作られているかご存じですか?
全く興味がない?
それはそうですよね。
なぜなら、それは私たち歯科医師と、歯科技工士の仕事だから。
そう、そんなことより、歯型を取ったのだから、1日も早くピッタリ合った、
長持ちする歯のかぶせものを入れてほしい、ただそれだけ。
それは、私も百も承知。
だからこそ、あなたに是非知って頂きたいことがあるのです。
いつものように、前置きが長くなりましたが、そろそろ題に入っていきます。
私たち歯科医師の一番の使命は、美味しく食事が出来るよう、
あなたの大切な歯を守ること。
すなわち、あなたが大切な日に、大切な人と、楽しい会話がはずむよう、
夕食の大切な時間を、演出するお手伝いをすること、なのです。
にも関わらず、不幸にも、あなたの大切な歯が、たまたまその前日、
虫歯が原因で、突然穴が開いてしまいました。
楽しいひと時が台無しです。
そう、たった1本の歯に穴が開いただけでも、
食事すること自体が憂鬱になります。
いやいや、こんなことは考えてはいけないこと。
何故なら、思考は現実になると、どこかの本に書いてありましたから。
さらに、あなたの主治医が私であれば、冷や汗ものです。
そのためには、日頃私たちは、精度の高い、長持ちする、
あなたに合ったハンドメイドの「歯のかぶせもの」を精魂込めて、
作っています。
しかし、残念ながら、歯形を取ったその日に「歯のかぶせもの」が
出来ることはありません。今までは。
なぜなら、「歯のかぶせもの」を作るには、私たち歯科医師と、
私たちをいつもサポートしてくれる、熟練した技術を持つ、
歯科技工士さんが必要。
しかも、日数をかけて。
そう、今までの歯科治療の常識からいうと、
良いものは、時間がかかる、
もちろん、費用もかかります。
ここで、歯科技工士さんの話を少し。
あなたは今まで歯医者さんに通う中で、歯科技工士さんと
会ったことはありますか。
直接、お話したことはありますか。
ほとんどの方が、「いいえ」と答えるのではないでしょうか。
そうなのです。
歯科技工士さんは、直接あなたにあいさつすることや触れること、
ましてお口の中を見る事は、ほとんどありません。
しかし、そこはプロ。心配は無用です。歯形模型さえできれば大丈夫。
ということで、歯科技工士さん仕事は、私たちが、あなた専用に
精密な型を取り、それを歯形模型にする所から始まります。
その模型から、技工士さんは、あなただけのハンドメイドの、
しかも精密な「歯のかぶせもの」を、作り出すのです。
作り出すその過程(石こうを流し、模型を作り、トリミング、
咬合器装着、ワックスアップ
鋳造、研磨)は、まさに職人技。全て手作業、しかも細かいことばかり、
時間がかかるのは当り前。あなたもその作業を見れば納得します。
というのも、10分の1ミリのズレがあれば、あなたの歯に、
「歯のかぶせもの」が入ることはないのですから。
入ったとしても、その10分の1ミリのズレや
すき間が、あなたの歯の寿命を、短くします。
何故なら、虫歯菌は目に見えないから。
ミクロの世界なのです。
そのくらい、「歯のかぶせもの」の精度が、重要なのです。
スペシャリストの歯科技工士さんの力なくして、
あなたの大切な歯を守るため、大切な、ピッタリ合った
「歯のかぶせもの」は、できることはありません。
ここまでお話を聞いたあなたは、ご理解頂けると思います。
精度の良い「歯のかぶせもの」を作ろうとすれば、どうしても手間隙、
つまり時間と、回数がかかるということ。
手間隙を惜しんで、「歯のかぶせもの」を作るとどうなるか…結果は、
誰が見ても明らか。
これが、今までの常識でした。歯の治療は時間がかかるものなのです。
そんな中で、今までの既成概念を覆す大きな出来事がありました。
熟練した技術を持つ、歯科技工士マシーン、名付けて
「セレックシステム」に出会ったのです。
そう、「セレックシステム」とは、人(熟練歯科技工士さん)の手を介さないで、
コンピューターが、直接「歯のかぶせもの」を作るシステムなのです。
嘘のような本当の話。
実は、そのシステム自体は、10年以上前からありました。
もちろん、私も知っていました。
しかし、悲しいかな、お口の型も取らず、模型も作らず、
ただ、お口の写真を3~4枚パチパチ撮るだけでの作業で、
熟練歯科技工士さんのように、コンピューターが、
10分の1ミリの精度を要求する世界を、再現するには、
少し無理がありました。
また、歯形模型を設計するのにも時間がかかるため、
チェアータイムも大幅に延びるのです。
なので、今まで導入を考えてきませんでした。
何より、プロの歯科医師や、歯科技工士さんより、
完璧な「歯のかぶせもの」を、しかも短期間で作る、
コンピューターが作りだすなんて、
私の中で想像すらできませんでした。
しかし、時は流れ、歯科治療も日々進歩します。
そう、私の想像を遥かに超えるスピードで。
そんなある日、最新バージョンに進化した、
「セレックシステム」のセミナーに参加した
若い先生が、診療室に帰るなり、キラキラした目で、私にこう言うのです。
「今度のセレックは本物です。今までの歯科医療の常識を、
大きく変えるものになります」
「白黒テレビが、カラーテレビに。いや、例えが古すぎました。
固定電話が、携帯電話に変わるくらい、進化しています。」と。
その先生は、続けてこう言いました。
「これさえあれば、患者様が、大変な思いをすることなく、しかも、短時間で、
精度の高い「歯のかぶせもの」が出来ます。夕食で楽しい会話が弾みます。
ここは一つ、セレックシステム導入の英断をお願いします。」
全く意味不明。文章がつながっているようで、バラバラ。
しかも、あまりに唐突な提案に、私は一瞬、理解不能に陥りました。
その後、先生は冷静になり、「セミナーや、本でセレックを勉強・体験し、
セレックシステムこそ、患者様の要望を、叶えることのできる、
最先端の治療法だ」
と、私にさっきよりは数段分かりやすく、時間をかけて、しかも資料を広げ、
説明してくれました。
平常心に戻った私は、その先生の本気さと、情熱、そして目の輝き、
さらに、患者様のためになる事は、率先して取り組むという、
私たちの医院の方針に従い、2つ返事で同意しました。
そうです。患者様のためになるならまずはやろう!取り入れてみよう!
これが、私たちの考え方、診療スタイルなのです。
医療技術は、日々進化しています。
私も遅ればせながら、セレックシステムについて、
遅れまいと必死で勉強しました。
最近さらにバージョンアップし、
進化している事を知りました。
実際、セレックシステムを導入している先生にも、直接話を聞きました。
何度も何度も、自分が納得いくまで資料を集め、セミナーに参加し、
知識を増やしました。
そして、実際に自分の目で見て、触ってみる事になりました。
目の前にある熟練技工マシーンセレックは、白く透明な、近未来的な姿。
飾りがなく、シンプル、機能的で洗練された美しさがあります。
写真より、数倍存在感があります。私は見とれてしまいました。
これを世間では一目惚れと言うのでしょう。早速そのシステムを
体感することにしました。
手順は、いたってシンプル。
セレック専用のカメラで、かぶせる歯の写真を数枚撮るだけ。
そして、そのデーターをもとに、三次元に、数ミリの狂いもなく、
「歯のかぶせもの」作りだすのです。
その時間、たったの15分。
その後、機械が静かに止まります。息をのむ瞬間です。
中から出てきたのは、真珠のような輝きの
オールセラミックの「歯のかぶせもの」。
「作りもの」と思えないくらい、白い輝きがあります。
そして何より、歯に戻した瞬間、
パズルの最後のピースをはめた時のように
ピッタリと入るあの感覚。
私は、感動のあまり、心がトキメクのが、
自分でもわかりました。
うまく文章では表現できないのですが、あなたがもし私と同じ場にいれば、
全く同じ感動体験をしていたハズ。
私たちが一生懸命治療にあたり、最高の材料と技術で型取をし、
熟練した歯科技工士が、のべ数10時間をかけてつくった物と、何も変わらない。
いや、それ以上に精度の高い「歯のかぶせもの」が、
たった15分で完成したのです。
「これなら、私たちを信頼して、お越し頂いているあなたに、
胸を張ってオススメできる。
いや、一人でも多くの人に、この素晴らしい治療を体験して頂きたい。
そして、虫歯ののない、豊かな人生を過ごして頂きたい。」
そう心から思いました。
そう、この「セレックシステム」は、これからの歯科界を
大きく変える可能性があると、強く確信した瞬間でした。
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