Vol.169 2013 ワクワク楽しい経営日記パート14 ~お金に関するトラブル~
今回は、開業3~6ヶ月で起こり得る、お金に関するトラブルについてお話します。
経営的に安定するまでは、資金繰りが大切。
開業後1年以内に、月200万の売り上げが確保できないと、
正直、医院経営はかなり厳しい。
日々損益分岐点と、ニラメッコ。
しかし、現実を憂うより、お金をかけず知恵を絞り、先ほど述べたように、
様々な仕組みを、行いましょう。
経営が安定すれば、1年後を睨み、チェアの増設、人員の補充を考える。
チェア1台入れるのであれば、人件費の増加も含め、
売り上げが、月200万円アップしないと、意味がない。
開業時、チェア2台でスタートしているなら、
月400万の収入が継続して、3カ月続けば、次の1台を入れる。それが目安。
1日の来院数としては、35人から40人。
まだこの数字に達していないのに、チェアを入れると、
時間帯により、人が余り、ダラダラとした雰囲気になります。
また、衛生士を雇用しているのであれば、1日10人メンテナンスで予約をとる。
1人30分~45分で5000円(保険も含め)
1日5万円、20日で100万円の収入をきっちり確保する。
それが早く実現するよう、システムの確立と衛生士の教育を、
この3カ月から6カ月の期間で行います。
また、今の時代、医療訴訟も増えている。
必ず、医師賠償保険には入ってください。
何かあれば、歯科医師会の医事紛争課が、サポートしてくれます。
そのためにも開業時から、入会して下さい。
私たちの医院は、スタッフが多数います。
また、日曜日以外は診療していますので、スタッフはシフト制。
早上がりの人、遅出の人、バラバラ。
そしてスタッフルームは、医院とは別のマンションの1室にあります。
個人のロッカーは、人数分あります。
しかし、貴重品などが入ったバックをロッカーに入れず床に置いたり、
ロッカーには入れても、鍵をかけない場合もあります。
残念ですが、過去に盗難がありました。
緊急ミーティングを開き、個別面談も行いました。
こういうことがあると、スタッフ全員が嫌な思いをします。
有らぬ疑いが、かかります。
『盗難自体が、本当なのか』という意見さえ、出ました。
ここでの、結論。
●盗難が起こり得るような状況を作った、本人が悪い。
●自覚が、足りない。
●貴重品は必ずロッカーに入れ、必ず鍵をかけることを徹底する。
そして、改善点として、外部の見学者や研修者向けに、
専用ロッカーも、用意するようにしました。起こってからでは、遅い。
開業当初から、起き得ることを想定して、準備をしましょう。
同じ理由で、受付の締めも1人でするのではなく、
必ず複数で行ってください。
1人だと、有らぬことを考えてしまうかもしれません。
1日の来院数が多くなると、収支が合わなくなる頻度も高くなります。
1人だと、無理に合わせようとすることにも、なり兼ねません。
人間誰しも、心のすき間があります。
弱い部分があります。
『出来心』が起きないよう、最初から体制を整えましょう。
昇給やボーナスも、要注意。
『この人は、人一倍頑張っている』
『医院のため、この半年、大いに貢献してくれた』
『今後も、この調子で、取り組んでほしい』
……その意味から、他の人より少し多く昇給をさせる、ボーナスの率を上げる……
それは危険です。
他のメンバーから、不満が出ることがあるからです。
『私は○○さんより、見えないところで努力をしている』
『院長は、私のことを見ていない』
………そんな意見が出ます。残念。
その人の昇給や、ボーナスは、規定通り出していても、です。
明確な、人事評価制度や、基準があり、正確な査定ができ、
誰でも理解でき、説明がつくものであれば、心配はない。
しかし、安易な気持ちから、差をつけるべきではありません。
就業時間、残業時間、有給休暇も労働基準法に則り、整備してください。
すなわち、週40時間を超えるものは、
残業手当てとして、基準の1.25倍を時間給として、支払います。
また就職後、半年を経過すれば本人の希望により、
年10日の有給休暇を与えます。
もちろん、計画的に付与することは可能です。
これらを順守することで、働きやすく長く勤務してもらえるようになります。
積もり積もった、仕事への不満や、院長自身への不平は、形を変え、
給料、有休、残業などの不満として、具体的に表れます。
ここに不満を感じさせなければ、少々仕事が忙しくても、
院長が頼りなくても、ある程度、我慢してくれるものなのです。
給料のことでいえば、私たちの医院では、特別手当として、
自転車圏内に引越しすれば、月2万円の『住宅手当』があります。
小さなお子さまをお父さん、お母さんに預けて通勤している場合であれば、
『お父さん、お母さん手当』として、月5000円支給しています。
また、半径200キロ以上に実家があり、お盆や、
お正月に帰省するのであれば、『里帰り休日』として、1日プラスしています。
その理由は…………、
「住宅手当」であれば、通勤時間が短縮すれば、その分仕事に集中できる。
『お父さん、お母さん手当』は、
家族の支えがあって、仕事が続けられることへの感謝の気持ち。
そして、『里帰り休暇』は、
お盆お正月の帰省ラッシュ時、交通機関が混みあうのを回避できる。
1日早く帰る、1日遅く戻れば、少しでもゆっくりできる。
……そんな『思いやり手当』があれば、思い入れを持って、
働いてくれると思います。
お金といえば、歯科医院内には、
一般的な会社や、事務所以上に、高額な機器がたくさんあります。
パソコンなどの周辺機器を含めると、2000万円は下らない。
火災や窃盗などで、損傷を受ければ、その被害は計り知れない。
そのため、火災保険や損害保険は、必ず入ってください。
また、私たちの医院では、被害を最小限に留めるため、
警備会社とも契約をしています。
備えあれば、憂いなし。医院の安全保障は、大切であると思います。
人生には、いつも落とし穴がある。
―――― 今回の学び ――――
ワクワク楽しい歯科医院は、どんなトラブルが起ころうとも、皆で早急に解決します。