Vol.14 理想の歯科医師を求めて パート2 ~自分探しの旅 in 中国~
人はある時、ほんの少しでも、取り巻く現状を離れ、
自分を冷静に見つめ直すことが必要です。そのため、旅は絶好の機会です。
異国を旅することで、自分自信を再認識し、
「今の自分を異国で、ほんの少しの孤独感と共に見つめ直す」
ことが出来ます。
ということで、私は中国を訪れました。
無事歯科医師国家試験が終わった、大学卒業直後でした。
社会人として、新たな人生を踏み出す学生生活最後の春休み。
私は何故か中国へ、旅してみたくなったのです。
中国を選んだことに、特に深い意味はありません。
金銭的予算や、旅行の日程、その時の気分で決めました。
そして約10日間、いままでの学生生活を振り返り、
これから始まる、夢と希望の歯科医師人生の
輝かしい第1歩をスタートする勇気を得るため、旅にでました。
香港から広州(中国)へ向かうため、パスポートを握り締め、駅のホームに立っていました。
卒業式から2日後のことです。
就職までの短い春休みを、少しでも有効に使うため、即行動しました。
まずは香港経由で、中国に入りました。旅の出発点は、広州。
広州は、古来より中国の海の玄関口として発達してきた、
華南最大の都市です。
「食は広州に在り」と言われるように、
豊富な食材も、お目当ての一つでした。
そして次の目的地、桂林へ
桂林はここを起点に陽朔まで下るリコウ下りで有名。全長437km。
特に桂林から陽朔にかけての約83kmの一帯には、
奇岩奇峰が延々と立ち並んでいました。文字通り山水画の世界です。
そして昆明へ。
町の名はこの地域に住んでいた「昆明族」からとられたもの。
海抜1900mの高原にあります。
私は、市内の西山森林公園の絶壁にある展望台へ。
ふもとの道明寺院、三清閣から1333段の石段を登ると
龍門にたどりつく。半円形に張り出した展望台からのながめは絶景。
そして昆明の南東約100kmにある石林へ。
そこには3億年もの風雨に削られた、カルスト地形が広がっています。
とまあ、あっという間の10日間の旅でした。この間感じたこと。
ホテルや、博物館、お土産屋さんなど、
外国人向けの所は、全て2重価格になっています。
それくらい20年間は、人民元の評価は低かったのです。
夢と希望とお金を求め、明日はもっと生活が豊かになる、
もっと幸せになる、夢が叶う。
そのため、今たとえ貧しくても、生活が苦しくても、弱音や言い訳そして人のせいにせず、忍耐と努力、
そして決してあきらめない強い精神力を持ち、一生懸命働いていました。
それがヒシヒシと伝わった4日間でした。
旅先で出会う人たちも皆、人生を楽しんでいるように見えました。
そしてこのときの私も、たぶん周囲からは、全く同じように見えたのではないでしょうか。
大学を卒業したとは言え、国家試験の発表はまだ。
歯科医師の免許もない、当然仕事もしていない、もちろんお金もない。
あるのは熱いハートのみ。その中には、今からやらなければならないこと、
いややりたこと、すなわち大きな夢が一杯つまっていました。