[’06/11/7]研修医レポート
今年度から、岡山大学歯学部の研修医施設に認定されました。
そのため、8月より研修医を受け入れ、日々指導を行っています。
しかし、ここでいつも感じること、実感することがあります。
それは、技術や話術などのスキルの部分ではありません。
もっともっと本質的なもの。
そうハートの部分です。
・来院者を幸せにしたい。
・自分に出会って本当に良かったと、言って頂きたい。
・出来れば一生のお付き合いをしたい。
・患者様のことを、少しでも多く知りたい。
・私自身を、もっともっと知ってほしい。
これらの研修医の内にある思いを、前面に出してほしいと思います。
もっと正面から来院者と、向き合ってほしいと思います。
・うわべだけの付き合いをしないで下さい。
・自分は、まだまだだと卑下しないで下さい。
・出来ない言い訳をしないで下さい。
・来院者の本当に望んでいることをして下さい。
・自分で考え、行動して下さい。
そう言い続けています。
そして今回、課題として「研修医レポート」を提出して頂きました。
岡山大学出身の期待の若手ドクター3名に。
以下はその抜粋です。
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① あなたはなぜ歯科医師になったのですか?
・人に必要とされる職業であり、あらゆる年齢層の人々の役に立てる職業だから。
・食事、会話などの日常生活で重要な部位であり、
健康になるために大切な部位である口腔内を健康にすることで
QOLを向上できるため。
・多くの人に寄り添って健康に過ごせてもらえるような仕事をしたかった。
・特に高齢者~老人の口腔ケアをしていきたかったため。
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私は以前働いていた会社で、無理難題を言ってくる取引先の要求に必死で答え、
それを達成した時に、当たり前のように受け取られるというような仕事をしていました。
それはそれで、達成感はありましたが、将来的な事を考え、
仕事に本当にやりがいを求めた時に、
もっと人から喜んでもらえる仕事に就きたい、
もっと人の喜んだ顔を、直接目にする事の出来る仕事に就きたい
という思いに駆られました。
歯科医師という職業は父親がしていたこともあり、
他府県に引っ越した患者様が、先生でないとと言って、
新幹線に乗って通っている姿などを目の当たりにしており、
私の求めている職業に非常に近い、と思うようになりました。
自分の行った仕事によって人が喜ぶ姿を見たいから、
その姿を見ることによって、仕事にやりがいを感じたいからです。
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「歯科=イタイ・コワイ」というイメージのせいで、
好んで歯科医院に行く人は少ないと思います。
実際、私も小さい頃、むし歯で歯科医院に行かなければならない日は
朝から憂鬱だったことを覚えています。
私が今こうして歯科医師になったからには、
そんなイヤな思いをしてもらいたくありません。
「行かなければならない」ではなく「行きたい」と
思って頂ける歯科医院を提供し、
患者様に幸せになって頂くために、
それを実現する歯科医師になろうと決めました。
②あなたの目指す歯科医師像
・治療はすばやくこなし、患者様と会話をしたり、
歯の事や生活の事などの話をして、身近な歯科医師として接してもらいたい。
・出会って、治療を受けてよかったといって頂けるような医師。
・ご家族のかかりつけ医として、両親・お子様などの健康を
見守れるような関係を作れる歯科医師。
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患者様、スタッフから親しみを持ってもらえるような
歯科医師になりたいです。
医者というと、大きな椅子に座って、上からものを言うようなイメージがありました。
患者様の立場として、
人が「こんなアホなこと言う先生の言う事聞かれへんわ」
などというのを耳にすることが、よくありました。
私は、どんなつまらない事でも、気軽に聞いてもらえるような決して威張ったり、
上からものを言ったりすることのないような歯科医師でありたいと思っています。
またスタッフとも、立場上指示が出ますが、
スタッフの意見に耳を貸さないという事がないよう、
悩みがあれば相談に来る、私に悪いところがあれば、
遠慮なく指摘してくるという関係を築きたいと思っています。
ブログで普段の私生活のことを書いたり、
患者様向けの文章では、歯科医師と書かず“歯医者さん”と書いたり、
初診の方には、全員に手書きのハガキを送ったりして
少しでも親しみを感じてもらおうと思っています。
患者様にとっては、敷居の高くない医院、
スタッフにとっては風通しの良い医院の雰囲気を、作る事のできる歯科医師でありたいです。
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患者様のなかには、院長希望、永井先生希望、吹田先生希望で
来院される方がたくさんいらっしゃいます。
きっとこういう患者様には、治療のために来院してるだけでなく、
そのドクターに会いに来ているのだと思います。
「自分のことをよく理解してくれている。このドクターなら
自分の口の健康を守ってくれる。」
そう信じているはずです。
私は患者様一人一人と誠実に向き合い、思いを理解する事によって、
「私の治療は森山先生でなければ」
と思って頂けるようなドクターになりたいです。
③患者様に愛される歯科医師とは
忙しくてもきちっと対応し、
治療内容や今後についてしっかり話をする
時間通りにでき、常に落ち着いている
患者様の不安を取り除けるような対応(治療オプションや話し方)ができる
一人一人の患者様を大切にして、状態を把握している。
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本当に自分のことを親身になって考えてくれる
歯科医師、何でも気軽に聞くことの出来る歯科医師、
ちょっとしたところに気配り、心配りの出来る歯科医師、
親しみを感じることの出来る歯科医師、
歯を見るだけでなく、本当に患者様の望んでいる事の分かる歯科医師
そんな歯科医師になるために、
私は、患者様と接する時の態度や
治療中の動きなど、全てに細心の注意を払う必要があります。
患者様のことを真剣に考え、何がその人にとっての幸せなのかを
常に考える必要があります。
また、その根拠となる歯科医療の知識と、技術の向上を目指さなければいけません。
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患者様と、治療についてだけでなく、色々なコミュニケーションを多くとる。
そうすることによって、「歯科医師」と「患者」という立場の壁を越え、
私たち歯科医師が、患者様の思いを理解するのはもちろん、
患者様にも私たちの考えや思いを伝え、理解してもらう事ができるはずです。
患者様から、ひとりの魅力ある人として見て頂くことが出来れば、
永く愛される歯科医師になれる思います。
④歯科医療を通じて来院者に伝えたいメッセージ
痛みを除いたり、歯を増やしたりするだけではなく、
歯科医院では気持ちよくなったり、美しくなる事もでき、
体の入り口である口から、健康になる事が出来るということ。
治療をした際は、人工物のプラークコントロールが難しいこともあり、
予防するという意識を持って頂きたいです。
治療では、かめて、しゃべれて生活できるように、
予防でずっと健康でいれるように、
かかりつけ医として、ゆっくり、じっくりお口の健康をサポートしていきたいです。
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歯科医院に最初に来る理由は、歯が痛い歯ぐきが腫れたなど、
あまり良いことではないことが、ほとんどだと思います。
痛みがなくなることが第一の目的で来られた方と、
長いお付き合いをする事ができ、
いつまでもきれいで、若々しい口元でいられる。
固いものでも何でも、おいしく食べる事ができる
お喋りを楽しむことができるなど、毎日の生活が楽しく豊かなものになるように、
お手伝いが出来れば、と思います。
そのために、無理に通うのではなく、来院するのが楽しみになるような医院を作ります。
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例えば、1本の歯を治療してほしい来院された患者様にも、
「こうすればもっと健康になれる。
もっと快適な生活を送ることができる。」
という誠実なアドバイスをすることで、
患者様自身も気づいていなかった要望を満たし、
幸せになって頂きたいです。
歯科を通じて健康になるためのお手伝いを私たちがさせて頂きたいと思います。
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彼らは今、本当に一生懸命学んでいます。
そして、ドクター全員で夜に勉強会を開いています。
私の過去の経過から、
卒後3年間でどれだけ多くのことを学んだか、
どれだけ多くの気づきを得たかで、
その後の歯科医師人生が大きく左右されます。
私の卒後の貴重な3年間の原体験が
今の私を形づくっています。
あの時の学びや気づきが、今に生かされています。
希望に満ちた彼らの人生を、実り多きものにするため、
私が出来る最大限の努力を、今後も続けていきます。
最高の歯科医師人生を歩んで頂くために。
<卒後3年間の大切さを身にしみて感じている 寄田幸司>