あなたへ送るエール

ある口腔外科医の覚悟と決断 ~教育から学習へ、自己成長は楽しみながら学ぶこと~

先日、CHP研究会主催のシンポジウムがありました。
その中でCHP研究会代表の諸井英徳先生か
「教育」から「学習」へというテーマでお話しされていました。

すなわち教育は、受身で他律的なもの
決められたカリキュラムにそって、教えられたことをそのまま暗記する。
そのため、自ら学ぼうとはしていない。

しかし学習は、能動的で自律的
自らが進んで疑問点や改善点を見つけ、学んでいく
そこにはやらされ感がない。
そのため、楽しみながら学びそして成長していく。

   

そのお話を聞いて、私も思いあたることがありました。
今回は、そのことについてお話して頂きます。
2005年11月、大学の後輩の先生からお電話頂きました。

彼は卒後大阪大学の口腔外科大学院に残りました。そして、その時卒後6年
学位も取り、関連病院の口腔外科勤務
日々忙しい毎日を送っていました。

その彼からの相談とは、
「出来れば3年後開業したい。しかし口腔外科にいたので、補綴や経営に関しては素人。
是非先生の所で一から指導してもらえませんか」

その話を聞いた私は、

「わかりました。是非私の所に来て下さい。その全てをお教えしましょう
ということで、2006年4月1日より、当院で常勤勤務することになりました。
これからが本題です。

確かに私たちの医院では、補綴や経営に関して学ぶべきことは多いと思います。
ある意味、彼の選択は間違ってないでしょう。
しかし私の考えは、少し違っていました。
彼の専門は、口腔外科

ならば短所をおぎなうより、さらに長所を伸ばす方が、
成功する近道。

   

私は就職するなり、インプラントを学びませんかと提案。
彼は、その時点で、過去インプラントの植立は1本もなし。
その理由は、「口腔外科の外来でインプラントの失敗例を、イヤという程見てました。
とてもじゃないが、自分の患者さんにはそんなつらい思いはさせたくない」と。

しかし、よくよく聞いてみると、撤去したインプラントは古いものばかり。
「今は材質技術も上がり、10年生存率は95%を超えている。最新の技術を学び
最良の治療を、ここでやってみませんか。あなたなら出来ますよ。」

「それにインプラントの埋入部位は、歯の状態や咬合などによりかなりの制約があります。
インプラント
をやればやる程、その後の補綴治療を学ぶ必要があります。
一般の補綴をやる以上にインプラント補綴をやることが、
短期間で高度な補綴技術が身に付きます」

「実際にインプラント上部構造の審美補綴にはさらに高度な技術が必要となります。
 歯周外科的治療も必須になります。
あなたのやりたいこと、学びたいことがここにはすべてあります。」

そして彼の出した答え
インプラント専門医として一人立ちしたい。やらせて下さい」
彼は自ら、覚悟を決断したのです。

   

そして、私がその後実行したこと。
手取り足取り、1から10まで教育したのではありません。
彼も「ハイわかりました」といわれるがままに、学んだのではありません。

「こういうセミナーがありますが、参加しませんか。
インプラントで有名な○○先生、の所に一緒に行き、ライブオペを診にいきましょう」

私がしたことは、全て提案だけ。
自ら学ぶ、そして取り入れ実践するかは、彼自信が決めること。

そして、経営についての学び。
これも、私が逐一教えたのではありません。やり方はただ一つ
実際、経営者になってもらっただけ。

    

彼の勤務半年後、彼の住む近くに新規開業の話が持ち上がりました。
開業地周辺は、健康意識が高い人が多く住む熟成された街。
インプラントなどの高度な治療も、説明し納得すれば受け入れてくれるでしょう。

コンセプトやそれに基づく設計は、私がお手伝いしました。
そのほか、人の採用育成、診療方針は全て、彼にお任せしました。

「まずは、あなたが思う理想の歯科医院像を明確にして下さい。
そして、その思いを熱くメンバーに伝えて下さい。
経営とは、周りの人を幸せにする仕組
そのためには、あなたからメンバー一人一人に声をかけ、愛情を注いで下さい。」

私は経営に関しては、何一つ口を出すことはありません。
彼の自主性に任せ、まずは実践してみる。
そしてうまくいかなければ、その場で何が間違っていたのか考える
うまくいかないからこそ、多くの学びがあります。

私が全て教え、例えたまたまそれがうまくいったとしても、
そこから何も学ぶことはありません。すなわち「教育」ではなく「学習」なのです。

そして2007年5月1日、彼の医院はオープンしました。
補綴と経営を学び3年後には開業したいと思い、
当院に就職した彼は、たった1年で、その目的の大半を達成することになったのです。

   

覚悟と決断をすれば、信じられないスピードで、人は成長することが出来ます。
そして信じられない結果を得ることが、出来るのです。

2006年4月にインプラント経験の全くなかった彼の
2007年インプラント年間埋入目標数は、なんと200本
今のペースでいけば、間違いなく達成出来るでしょう。

やはり今回も大切なこと
覚悟決断
数値目標期限設定
即行動
・ そして、フィードバック(学習)

この習慣を身につければ、あなたにも信じられない結果が。

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